ヘッジファンドのレラティブ・バリュー戦略を債券アービトラージ戦略を例に解説

私はPEファンドとヘッジファンドというオルタナティブ投資を投資ポートフォリオの基本戦略として添えています。

今回からヘッジファンドの基本的な戦略について説明していきたいと思います。

今回はレラティブ・バリュー戦略について見ていきたいと思います。

 

レラティブ・バリュー戦略

レラティブ・バリュー戦略は『ロング・ポジションとショート・ポジションを同時にとり、

一時的に発生した価格の歪みが元の状態に戻ることで収益を創出する戦略』です。

 

ロング・ポジションというのは直訳すると長いポジションと全く意味不明となってしまいますが、

金融業界の慣習として『買い持ち』している状態のことを言います。

 

買い持ちとは例えば貴方がある会社の株式を購入して保有していたとします。

この保有している状態のことを買い持ちというのです。

 

一方反対のショート・ポジションはというと金融業界の慣習として『売り越し』ポジションとなります。

売り越しポジションとは株式であれば空売りをしている状態のことを指します。

 

空売りとは株式を証券界者から借りてきて売り、

株価が下がったとき買い戻すことにより利益を獲得することを目指した取引手法です。

 

何ももっていないのに売るので、空売りという名前になっています。

つまり『ロング・ポジションとショート・ポジションを同時にとり』とは、

買い持ちと売り越しのポジションを同時に保有する状態のことをいいます。

 

次に『一時的に発生した価格の歪みが元の状態に戻ることで収益を創出する』という部分について説明します。

バフェットの氏であるベンジャミン・グレアム氏も言及しているのですが、

Mr.マーケットは毎日玄関にやってきて株価を提示してくる。

 

しかし、この価格が毎日ばらばらで時に明らかに安いときもあるし、明らかに高いときもあると。

このMr.マーケットが提示してくる価格こそが株価です。

 

つまり株価を始めとしたマーケットと取引されている商品は短期的には、

バーゲン価格や吹っ掛け価格で売買されているということを暗にいった例えなのです。

 

つまり、バーゲン価格のものを購入すると同時に吹っ掛け価格のもの売る戦略が、

レラティブ・バリュー戦略ということになるのです。

 

非常に簡単ですね安いものを買うと同時に高いものを売っておくというだけなのです。

名前に比べて非常に分かり易い単純な戦略であることがご理解頂けたかと思います。

レラティブ・バリュー戦略の代表格である債券アービトラージ戦略

レラティブ・バリュー戦略の代表的なものとして債券アービトラージ戦略があります。

債券アービトラージ戦略は『イールドカーブに平均回帰性があるという前提のもと、

複数の債券についてロング・ポジションとショート・ポジションを同時にとり、

一時的な価格の歪みが元の合理的価格に戻る過程で利益を生み出す戦略』です。

 

債券アービトラージ戦略の意味をかみ砕く

まずイールドカーブです、イールドというのは債券利回りのことなので、

イールドカーブというのは債券利回曲線のことをいいます。

ここまでくると分かり易くなり始めたのではないでしょうか。

つまり横軸に債券の残存年数、縦軸に債券利回りをプロットしていった曲線のことをイールドカーブと言います。

イールドカーブとは

ちなみに上記のように年限が上がる毎に利回りが上昇していくイールドカーブを順イールド、

逆に下降していくイールドカーブを逆イールドといいます。

通常は順イールドとなることが多いことは感覚的に理解できると思います。

何故なら期間が長くなればなるほど債券が返還されるリスクが高くなり、

その分のプレミアム(上乗せ分)を投資家としては要求したくなりますもんね。

米国にも30年債というものがありますが、

30年後の米国なんてひょっとしたら経済が崩壊してデフォルトしている可能性もあるので、

2年債と同じ金利では決して買いたくないですよね。

イールドカーブに平均回帰性があるというのは、下の赤線のように本来あるべき姿(青線)から乖離した場合に、

長期的には青線に戻る性質ということをさします。

イールドカーブの歪み

ここまでくれば債券アービトラージ戦略を理解する一歩手前まで来ています。最初の定義に戻ります。

『イールドカーブに平均回帰性があるという前提のもと、

複数の債券についてロング・ポジションとショート・ポジションを同時にとり、

一時的な価格の歪みが元の合理的価格に戻る過程で利益を生み出す戦略』

ここまでの説明で噛砕いて説明すると

『債券の利回り曲線が同じ場所に戻ってくるという前提のもと、複数の債券を買い持ちと売り越しを同時に行い、

短期的な債券価格の過小評価、過大評価の鞘を抜きに行く取引』

と言い換えることが出来ます。先ほどのイールドカーブを用いて説明します。

イールドカーブの歪み

つまり実態より高い利回りで取引されている(債券価格が割安)となっている2年モノの債券を買い、

実際より低い利回りで取引されている(債券価格が割高)となっている3年モノの債券を売って、

青線に戻った場合に利益を獲得する手法を債券アービトラージ戦略と呼んでいるのです。

 

債券の額面価格というのは例えば2年後に100円で取引されるという価格である現時点での価格ではありません。

現時点の債券価格と1年後の利子と2年目の利子の合計が100円となるのです。

本来であれば、現在のお金の価値と2年後のお金の価値は違うので、正確ではありませんがここでは便宜的に現在と1年後、2年後のお金の価値が同じだとします。

利回りが2%の場合は
(2年後の100円)ー(2年目の利子2円)-(1年目の利子2円)=現在債券価格96円

利回りが4%の場合は
(2年後の100円)ー(2年目の利子4円)-(1年目の利子4円)=現在債券価格92円

となり利回りが高ければ高いほど現在の債券価格が低くなることが感覚的に理解頂けたかと思います。

債券アービトラージ戦略の特徴

イールドカーブの歪みから安い債券を買い、同時に高い債券を売ってあるべき姿に収斂した際に売り越しポジションと買い持ちポジションを同時に閉じて収益化するのが債券アービトラージ戦略であることを見てきました。

しかし、この歪みというのが非常に小さい度合いでしか発生しないので、

債券アービトラージ戦略をとるヘッジファンドではレバレッジを効かせて、

何倍ものポジションと取引して利益を取っていこうとします。

リスクが大きいように見えますが、買い持ちと売り越しポジションつまり売と買を両建にしているので、

大きな損失は発生しない仕組みになっており左程心配することはなさそうですね。

そして債券アービトラージ戦略の利益の源泉は自分の計算した理論値との乖離の収益化です。

先ほどの例でいうと2年債の利回りは高すぎて、3年歳の利回りは低すぎるので、この歪みを収益化しようというものです。

しかる状況下、金融政策が利上げ方向になりイールドカーブ全体が上に押し上げられてしまった場合はどうなるでしょうか。

イールドカーブ全体の変動

そもそものイールドカーブが押し上げられたことによって歪みを取れていたとしても、最終的に損失が発生してしまうということがあり得るのです。

 

債券アービトラージ戦略をとるヘッジファンドでは金利が変動しても同じ利益と損失が発生して、

相殺するように債券の買い持ちと売り越しのポジションを調整します。

ポジションの調整によって、ファンドマネージャーが注視するのは価格の歪みの一点に絞ることが出来るようになるのです。

このように特定の動きに着目する為に、他のリスクを極力排除するという調整は金融の世界では日常的に行われていることなのです。

しかし理論は分かっても適正価格を算出したり、

ポジションを調整するには高度な数学とプログラミンが必要なことは容易に分かると思います。

なかなか個人で実践できるような手法ではありませんね。

総括

価格の割安なものを買い割高なものを売るレラティブ・バリュー戦略はヘッジファンドの主な取引手法の一つとなっている。

一番多い例が債券アービトラージ戦略でイールドカーブの歪みに着目して債券を売り買い両建でたてて適正なイールドカーブに回帰した時にポジションを閉じて収益化を行っている。

実践には高度な数学の知識とモデリングの経験、更にプログラミング技術が必要となり専門家集団だからこそできる取引手法といえる。

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